【完】それでもいいと思える恋だった。
もう一生会えなかったらどうしよう。
どうやって、会いに来たらいいの。


私、電車なんて乗ったことないし。
捺くんいないとなんにもできないのに。


今日まで当たり前だったことが当たり前じゃなくなる。
隣にいるのが日常だったものが。
会えなくなる日々が日常になっていく。


名前を呼べばこっちを向いてくれて。
いじわるなこと、いっぱい言われるけど。
その後、ばーかって言って頭を撫でてくれる。
不器用で意地っ張りだけど。
それ以上の優しさをくれる。
そんな捺くんと一緒にいるのが普通だった。


あと2週間でその普通がなくなってしまうと思うと。
ぽろぽろ目から涙が溢れた。



「でも、ちゃんと伝えなきゃだめだよ。」



「……分かってます。」



「それに、もう会えなくなるわけじゃないんだから。
 手紙のやり取りだってあるし。
 それに高校生になったらバイトしてこっちくればいいし。
 あと1年我慢だよ。」



「そう、ですよね。」



「それに、私だって寂しいのに。
 捺にヤキモチ焼いちゃう。」



「わ、私だって希美ちゃんと離れるの寂しいですよ!」





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