【完】それでもいいと思える恋だった。
小学校の途中でほかの所に引っ越すことになって。
今までの友達と離れるのは寂しかったし。
親に不満だって抱いた。
それでも俺が休むことなく学校に通ったのは。
この場所に香織がいたからだ。


初めて挨拶をしたとき、可愛いなって思った。
前の学校で一番かわいいって言われた子より可愛かった。
きらきら、光って見えた。


香織はドジで間抜けで。
どんくさいし、すぐ人の事信じるし。
危なっかしいし。
一時たりとも目を離せなかった。


そのせいかいつも一緒に行動することが多くなって。
気付いたらそれが普通になった。


男と女が一緒にいるから。
よくからかわれたりもした。


陰で香織が泣いてるのを見かけたことがある。


そういう風に香織が傷つくのは許せない。
こんなことで、香織が俺の傍から離れるのはもっと嫌だ。


だから、出来るだけバレないように香織を守ってきた。
恥ずかしいし。格好つかないし。
前より笑う事が増えた香織を見て。
ああ、好きだなって。
そう思った。


誰かをそんな風に思うのは初めてで。
経験した事のない感情に戸惑った。
男子が香織と話しているのを見るだけでムカついたし。
底知れぬ不安を抱いた。



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