【完】それでもいいと思える恋だった。
最終下校時刻まで残り続ける。
そんな日々を送っていた。



「捺。」



机にうっつぷしていると。
俺の名前を呼ぶ声がした。



「希美?」



「ちょっと、話があるんだけど。」



小学校の頃から香織と仲が良い希美が。
俺の教室にずかずかと入ってきた。



「捺さ、香織の転校知ってるんだよね。」



「知ってるけど。」



「いつ引っ越すのかも知ってんの?」



「……いや。」



あの日、引っ越すって言葉を聞いて逃げてきたから。
いつ引っ越すのかも。
どこへ引っ越すのかも。
全然知らない。



「香織、明日引っ越すんだよ。」



「は?」



明日?
今日は金曜日だから明日は休み。
最後の学校だったのかよ。



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