【完】それでもいいと思える恋だった。
下校の時。
ドア脇から帰るぞって覗く顔が見えなくて。
1時間、待ってみたけど。
やっぱり来る気配がなくて。
ひとり、帰り道を歩いた。


先に帰ってるのかな。
置いていかれてるのかな。


ばーかって、いじわる言う捺くんが恋しくて。
さりげなく道路側を歩いてくれる捺くんが恋しくて。
登下校も、捺くんとの思い出ばっかりで。


なにをしても、どこにいても。
捺くんを思い出す。


どうしたらいいの。
なにしても涙が出てくる。
なんで、こんなことになっちゃったんだろう。


毎日、朝遅くまで捺くんが家でるの待っても。
下校時刻ぎりぎりになるまで待ってみても。
捺くんの姿を見ることが出来なかった。


部屋の電気もついていなくて。
捺くんが何してるのかもわからない。


学校の廊下ですれ違う時。
姿が見れて嬉しくて。
でもどう反応したらいいのか分からなくて。


それでも捺くんと目が合うことはなくて。
すれ違う時、触れた肩にドキドキして。
痛くて、苦しくて。
泣きそうになる。




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