【完】それでもいいと思える恋だった。

いつ誰かのものになるのかって冷や冷やしてます。
そしたら一緒に帰ったりできなくなりますもんね。
私だけの捺くんでいてくれたらいいのに。
なんて、欲張りですか?



「……捺くん。」



もう、お空星空ですよ。
……いつになったら来てくれるんですか。


ひとりで見る星空は味気なくて。
歪んで見えた。


ああ、歪んで見えるのは。
私の涙のせいですね。


……どうしてきてくれないんですか。
本当に、私のこと。嫌いになっちゃたんですか。


待っている間に思い出した捺くんは全部優しくて。
優しさの形がどんどん変化していて。
愛おしい、とさえ思えてしまう。
そんな捺くんからの不器用な思いが。
私は、好きで……。



「捺くん、好きですよ。」



その日、捺くんは私の所へは来なかった。
秘密の場所、忘れてしまいましたか。
それとも、もうふたりの場所じゃないですか。
約束、守れない罰ですか。


私の事、嫌いになりましたか。
もう、会いたくないですか。
……忘れてしまいましたか。


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