【完】それでもいいと思える恋だった。
「手紙書きますね。」
「もらったら即返事書くから。」
「じゃあ私もすぐ書きます。」
「めっちゃ送りあいっこになりそう。」
「想像出来ちゃいますね。」
「あっち行っても、元気でね。」
「希美ちゃんも、部活頑張って下さい。」
「……ばいばいしたくないよ~。」
「希美ちゃん……。」
「離れても香織は私の一番の友達だからね。」
「希美ちゃんも、私の一番の友達です。」
最後にギュって抱き合って。
またね、って挨拶をして。
また、会える事を信じて。
私は、駅の改札をくぐった。
電車が来るまであと10分。
もう。頻繁に来ることがなくなる私が生まれた場所。
好きでした、この街。
都会ってわけでもないけど田舎ってわけでもなくて。
程良く充実してて。
のどかな田んぼもあるし。
それに。
捺くんに会う事が出来たから。
私はそれだけで、充分。