【完】それでもいいと思える恋だった。
今日も雨、全然かからなかった。
帰り際、捺くんの肩を確認するとやっぱり濡れていて。
私の方に傘を傾けてくれていることに気付いていた。


雨の日はいつもそう。
小さいころからいつも。
私の事を濡らさないようにいてくれた。


女の子は冷やしたらダメなんだよって。


小さい頃の捺くんは言ってくれて。
今は黙って傘に入ってろなんて不器用で。
大きくなるにつれて口が悪くなっていったけど。
それでも根本の優しさはそのままで。


そのテレカクシが可愛くて。
ついつい甘えてしまう。


私、幸せものですね。



「香織~、ちょっと下降りてきて。」



いつの間にか寝ていたのか、外を見ると真っ暗だった。
お母さんの声に起こされてリビングに行くと。
お父さんも帰ってきていて。
ふたりとも椅子に座っていた。



「どうかしましたか?」



「ちょっと香織に話があるんだ。」



お母さんに催促されて椅子に座り。
お父さんの次の言葉を待つ。



「なんですか?」



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