【完】最期のラブレター
クラスのみんなから無視される。
視線を感じる。
悪口をひそひそ言われる。


暴力的ないじめは自分がそこにいるといってくれているけれど。
誰も何も話してこない。
遠巻きに、いないものとして扱われる。
自分がまるでそこには存在しないものとして扱われていく。
その精神的な重圧に、亮くんは最後まで耐えられなかった。


そこに受験、という大きなストレスも入ってきて。
亮くんの心は壊れた。



「推薦、決まってたんだけどね。
 クラスで問題が起きて取り消しになったの。」



渋谷亮がクラスの女子に性的暴行を行った。


そんなでたらめをクラスの男子が担任に吹き込んだことがきっかけだ。
誰ひとり、亮くんの言葉に耳を傾けることなく。
亮くんの推薦取り消しが決まった。


重なる不幸に、ボロボロだった亮くんは自殺を決意した。



「きっと、死ぬ間際に思い出したのが真知ちゃんだったのね。」



遺書を残さず。
たった1通のラブレターだけを残して。
彼は、この世を去った。


話を聞き終わった後、亮くんの使っていた部屋を見せてもらった。
黒と白で統一された落ち着いた部屋で。


本棚には一緒に読んだ本たちが並べられていた。
遠足で一緒に撮った写真を。
写真立てに入れて、一番よく見える所に飾ってあって。
私は思わず涙を流した。



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