【完】最期のラブレター
どうして、私は気付いてあげられなかったのだろうか。
どうして、忘れてしまったのだろうか。
こんなにも大切なことを。
私の事を想ってくれている人の事を。
どうして忘れる事が出来たのだろうか。



“うしろ姿が好きでした。”



なんて。
最高の告白じゃないか。


それを伝えた人はもうこの世にはいなくて。
気付いた今は、もう遅くて。
彼の思い出がつまったこの部屋を。
私は脳裏に焼き付けた。


亮くんのお母さんにお礼を言った後、
私は亮くんの家を後にした。


やることは決まっていた。
居ても立ってもいられず、私は全力で走った。
息が切れても、足が痛くても。
それでも走った。


5階も登るのは辛いけど、それでも登った。
勢いよくドアノブを引いてドアを開けると。


空に一番近い。
あなたが最後にいた、屋上。
無我夢中でこの場所へやってきた。


いきなり届いたラブレターは先週亡くなった人で。
顔も声も分からない、ただの同じ学校の男の子。
彼は、私のうしろ姿を好きだと言った。


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