【完】最期のラブレター
“うしろ姿が好きでした。”



ただそれだけが書かれていた。


……うしろすがた?



「ほらああああやっぱ気味悪いじゃんん!
 成仏できなかった系のあれでしょ!!」



「いや幽霊物質さわれねぇし。」



「真知、なんかあったらいってね。
 お祓い屋とかすぐ呼ぶから。」



「おまえは真知にも渋谷にも失礼すぎるだろ。」



「まあ、とりあえず教室行こうか。」



得体のしれない違和感。
心の中に異物が入り込んだ感じ。
なんだろう。何かある気がするんだけど。


シブヤリョウ。自殺。ラブレター。うしろ姿。そして、私。
どれもつながりなんてなさそうで。
考えれば考えるほど混乱してくる。


今日1日手紙の事で頭がいっぱいで。
授業なんかに集中なんてできなくて。
終礼が終わると同時に、渋谷君の担任の所まで小走りで向かう。



「失礼します、小竹先生いますか?」



「あら、広田さん。どうかした?」



先生は少しやつれていて。目にクマができていた。
調査とか、忙しかったんだろうな。


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