【完】最期のラブレター
「あの、渋谷くんについて聞きたいことが。」



「えっ……。ああ、そうね。
 こっちで話しましょうか。」



先生は少し驚いた後、私を応接間へ案内した。



「渋谷くんの事を訪ねてくるのは、あなたが初めてよ。
 渋谷くんとは仲良いの?」



「あ、いえ。特に接点は。」



「そう。」



インスタントのコーヒーを私の前にそっと置いた先生は。
ゆっくりと椅子に腰かけた。



「で、聞きたいことって?」



「はい、あの渋谷くん家の住所って聞いてもいいですか?」



「住所?」




「実は今日、下駄箱にこれが入ってて。」



「……ラブレター?」



「おそらく死ぬ前に入れたものだと思うんですけど。」



「遺書も、書いていなかったのに……。
 本当に知り合いじゃないの?」



「そう記憶してるんですけど。
 でも、何か腑に堕ちなくて。
 だから家に行けたらって。」



先生は少し黙りこんだ後。


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