【完】最期のラブレター
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「渋谷くんが外を見つめてたのはそれが理由か。」



月曜2限、私が自分のクラスを担当している時間。
いつも下を向いている渋谷くんが。
その時間だけはじっと外を見つめていた。


なにかあるのかと、外を見たけど。
普通に体育している生徒がいるだけで。
特に変わったことは起きていなかった。


でも、そういうことか。
好きだったのか。


好きだったなら、なんで自殺なんてしたのよ。
死んだら何も残らないのに。


冷めたコーヒーを勢いよく飲み干す。


遺書は残さず、ラブレターを残す。
死に方に似合わずロマンチックな渋谷くんに。
おもわず笑みを浮かべた。



あなたが今、幸せでありますように。





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