【完】最期のラブレター
知り合い、なのか?
言われるがまま、家の中に歩みを進める。
玄関には渋谷くんとお母さんのふたりで撮った写真が飾ってあった。
入学式の、だろう。
ぎこちない笑みを浮かべた渋谷くんが映っていた。



「狭い所だけど、どうぞ。」



「いえ、お構いなく。」



「びっくりしたわ、いきなり真知ちゃんがやってくるんですもの。
 もう9年?近く経つかしら。
 綺麗になって~、一瞬分からなかったわ。」



「えっと……。」



「亮のお友達なんて、聞いたことなかったもの。
 こうやって誰かが訪ねて来てくれたのは初めてよ。」



そう、寂しそうにつぶやいた渋谷くんのお母さんは。
オレンジジュースとお茶菓子を持って向かいの椅子に腰を下ろした。



「真知ちゃんは、覚えてないかしら。
 ほら、小学校3年生まで同じ学校だったでしょ?」



「小学校3年……。」



薄れかけた記憶を必死にたどっていく。
3年って、なにしてたっけ。
必死に思いだしていくと。


あ、私。
いじめられてた男の子、助けたことあったっけ。


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