この暴君、恋すると手に負えません



その時だった。


突発的に強風が吹き荒れ、補正していたビニールが暴れるように波打つ。
ロープで結んだ鉄筋が、強風の揺れでするりと落下してきたのだ。



ーーウソ!?何で落ちてるの!?



私は反射的に勢いよく前に飛び出した。



「危ないっ!!」




私は咄嗟に暴君の胸板に飛び込み、その勢いで押し倒してしまった。頭を打ち付けたようだが、どうやら無事らしい。


暴君は大きく目を見開いたまま、ただ呆然としていた。



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