この暴君、恋すると手に負えません
するとその時、突然携帯の着信音が鳴り響いた。
暴君はあからさまに不機嫌な顔をしつつ、携帯画面を見つめてタップした。
「俺だ。何かあったか?」
『帝様、間も無くゲームクリアまで近づいた方がいらっしゃるので、そろそろお戻りくださいませ』
「....わかった」
そして電話を切った瞬間、暴君は深い息を吐き出した。
「虹美、そろそろ戻るぞ」
「は、はい」
私は桐生さんの電話に救われた。
私はまだあの甘過ぎる口づけに酔ったままで、熱い頰を抑えて頷く。
私の様子をみた暴君は口角を吊り上げて、悪戯に耳元で囁いた。
その一言に私は一気に顔が熱くなるを感じた。
「ほら、行くぞ?」
なんて、何事もなかったかのように歩き出す暴君の背中を私は距離を保って追いかけたのだった。
私は暴君が囁いた言葉が頭から離れられなくて、ずっと高鳴る心臓をどうにかしたくて内心悶々としていた。
そう、暴君はこんな悪戯を囁いたのだ。
"続きはパーティーの後でな?"