この暴君、恋すると手に負えません


「......まぁ、でも"人の女(モノ)"も平気で横取っちゃうもんね、帝くんは」
「え?どういう.....「光希、酔いすぎだ」

一瞬、二人の間で張り詰めた空気が漂っていたが、光希さんが私から離れると椅子から立ち上がった。

「ごめんね、帝くん。ちょっと悪酔いしてるみたいだから先に部屋で休ませてもらうね。今日は楽しかったよ、ありがとう」
「お前、一人で大丈夫か?」
「大丈夫、子どもじゃないんだから。じゃ、おやすみ」

光希さんは私たちに軽く会釈をすると、そのままこの場を後にした。

光希さんは若干よろめきながら歩いているのが気になるが、それよりも私は隣で眉間に深く皺を寄せてワインを飲んでいる暴君が何処となく元気がないように見えたのが気になった。

すでにもう赤ワインのボトルを3本もあけているにも関わらず、おまけに今テキーラを一気に飲み干した。


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