この暴君、恋すると手に負えません
「帝さん、テキーラを一気に飲んだら酔いが回っちゃいますよ?」
「......これくらい、平気だ」
すると暴君は私の腕を掴み、下から見上げるように私の顔を覗き込む。
「......それよりお前忘れてねぇだろうな?」
「何をですか?」
暴君は私の腕を掴んだまま、もう片方の手で私の頰を包み込む。そして顔を寄せて見つめながらこう呟いた。
「さっきの続き」
ーーさっきの続きって......。
その言葉に私は先程の屋上での出来事を思い出し、体中が一気に熱くなるのを感じた。黙り込む私を見て暴君は悪戯な笑みを浮かべる。