この暴君、恋すると手に負えません
すると其処に桐生さんが歩み寄り、暴君にそっと耳打ちをする。
「帝様、お部屋のご用意できております」
「分かった、お前も今日は早く休めよ」
「ありがとうございます」
「よし、じゃ行くか。虹美」
「はい?」
そして暴君はそのまま私の手を引いて歩き出した。
「ちょっ、帝さん!?」
「いいから黙ってついてこい」
この男はやっぱり横暴だ。
人の意見なんて耳にしないで、全て自分の思い通りになるように人を動かす王様。
だけどどうしてだろう。
そんな身勝手な王様に振り回されているのに、弄ばれているのに、拒絶しきれないのは何でだろう。