この暴君、恋すると手に負えません


「前に言っただろ?逃がさないって」


暴君はそのまま私の口を塞ぐように自分の唇を押し当てた。そして私をまるで弄ぶかのようにとろけるような口づけを何度も交わす。

思わず力が抜けてしまうと、そのまま軽々と抱き上げられてしまった。所謂お姫様抱っこというやつだ。


「......やっ、ちょ、降ろしてくださいっ」
「だめだ」


そう言って私の額にひとつ口付けを落とし、暴君は意外にも優しい微笑みを向けたのだった。


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