この暴君、恋すると手に負えません
「......いやっ」
気づいたら押し倒された衝撃で、ゴムが緩み私の長い髪がベッドで踊っていた。暴君は私の髪をすくい、まるで王子様のように口付けながらこう呟く。
「虹美、俺にキスしろ」
「......っ、できるわけっ」
「できないならこのまま襲うぞ?」
ーーもう私にここから逃げるという選択肢はない。
このままこの暴君に襲われてしまうか、自らキスをして襲われるのを免れるかしか選択がないなんて。
「どうする?」
「......し、します」
「今日は素直じゃねぇか。ほら、しろよ」
「......そんな見つめられたらできません」
「仕方ねぇな」
すると暴君は私の隣にごろんと寝転んだ。そしてネクタイを緩めながら、目を瞑って呟いた。