この暴君、恋すると手に負えません
ガン!
鉄筋が落ちた振動が伝わった。
鉄筋は私の足元ギリギリのところを落下し、運良くも怪我人は出なかった。
私の心臓はこれまでにないほど激しく波打っており、きっとそれは暴君にも伝わっていただろう。
「帝様、ご無事ですか!?今すぐドクターヘリを越させます!!」
そして桐生という音が電話でヘリを手配していると、暴君はやっと声を出した。
「......決めた」
「はい?」
「お前は絶対俺のモノにしてやる」
ーーこの人、頭の打ち所悪かったのかな?
この状況でまず口に出す台詞とは思えず、私は慌てて暴君から離れようとしたが、簡単に逃れられることは出来なかった。