この暴君、恋すると手に負えません



「ほら、これならできるだろ?」


ーー出来るわけないでしょ!!


私は上半身を起こして、隣で目を瞑ったまま大人しく待っている暴君を見つめた。

男のくせに睫毛の量は多くて長い。
なんてちょっとジェラシーを感じながら、暴君に少しずつ顔を寄せた。

しかし恋愛経験が少ない私にとって、自分から男にキスをするなんて、簡単に出来る筈がなかった。

だけどここで私からキスをしなかったら、暴君に襲われてしまう。それだけは阻止したい私は、今更キスのひとつやふたつ変わらないと思い、覚悟をして唇を近づけた。

しかし、唇が触れそうになった瞬間、私は気づいてしまった。


< 110 / 409 >

この作品をシェア

pagetop