この暴君、恋すると手に負えません



「……美作虹美!?」
「桐生さん!?」


そう、私たちの目の前に姿を現したのは桐生さんだったんだ。


そして桐生さんは光希さんの顔を見ると、驚いたように目を大きく見開く。


「……光希様も?どうして?」
「そういう桐生さんこそ、こんな時間にここで何を?」


私の問い掛けに答えにくいのか、桐生さんは視線を落としながら呟いた。


「……お前には関係ない。そういうお前こそ何をしているんだ?」


すると光希さんが私たちの間に入り、桐生さんを見つめながら答えたのだ。


「ごめんね。お互い目が覚めちゃってロビーで偶然会ったんだ。それで虹美ちゃんと夜風に当たりにいこうと思ってたところなんだ。でも急にエレベーターが止まっちゃって、動き出したと思ったらここに止まったんだ」
「……そうですか」


光希さんの丁寧な説明に、桐生さんはどこか納得しきれてない表情を浮かべている。



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