この暴君、恋すると手に負えません


"どうやらコードが古びていて、照明が動いた時に擦れて落下してしまったようですね"


あの時に桐生さんが言った言葉にずっと違和感を感じていた。

一見、自分の犯行を隠しているようにも聞こえるが、あの有能執事である桐生さんのことだ。もっと巧妙な犯行を考える筈だ。

いくら感情的になってたとしても、私なんかに気づかれるような安易な証拠を残す事をするだろうか。


ふとあの殺人予告状が脳内を過ぎった。其処で私はある答えに辿り着く。


「......もしかして。いや、でも......っ」


あれは桐生さんが自作自演したもの。


でももしも、あの殺人予告状を桐生さんが作ったという事も嘘だったらとしたら。

桐生さんは何の為に嘘をついているんだろう。もしかしてーー......。


ーーって、何で私は少年探偵みたいに推理してるのよ!!


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