この暴君、恋すると手に負えません
「帝様、私が代わりにお答え致します」
「......桐生?何でお前までここに?」
さっきエレベーターで光希さんと一緒に一階まで降りていったはずの桐生さんが戻ってきたのだ。
ちらりと私を盗み見る視線は、やはりいつもと変わらず睨みつけた目である。
「......でもその前に、先程の帝様に対してのご無礼を謝罪させてください」
すると桐生さんはそのまま床に膝をつけ、丁寧な土下座をして謝った。
「大変申し訳ございませんでした」
暴君はすぐに桐生さんに歩み寄り、膝を立てて腰を落とした。桐生さんの肩に手を添えながら、優しい声でこう呟く。
「もういい、顔を上げろ」
「……帝様」
「お前は謝る事してねぇだろうが」
「……でもっ」
「俺の言う事が聞けないのか?」
「……いえ」
そして暴君は桐生さんの腕を引っ張り上げ、満足げな笑みを浮かべていた。