この暴君、恋すると手に負えません
「じゃ、説明してもらおうか?何でこんな時間にお前ら揃いも揃ってこんなとこにいたのかを」
「……分かりました」
桐生さんは一旦私に視線を向けてから、淡々と話し始めた。
「まず、美作虹美と光希様が目を覚ましてロビーで偶然遭遇したそうです。そこで光希様が美作虹美に夜風に当たりに行かないかと誘い、エレベーターで降りていた際、急にエレベーターが止まったそうです」
「......本当なのか?虹美」
暴君は眉間に皺を寄せて表情を曇らせた。
「はい、何の前触れもなく急に止まってしまって。センターに問い合わせても繋がらなくて困ってたんですけど」
「......光希と二人きりで密室に閉じ込められたってわけか」
暴君は不機嫌そうな顔をして何かをぼやいたようだが、私は聞き取れず不思議そうに首を傾げた。
「それで桐生は何してたんだ?」
「......私は、その」
桐生さんは答えるのを躊躇するように視線を逸らしていた。その仕草を見て暴君は小さく息を吐き出す。