この暴君、恋すると手に負えません
#5 暴君との甘い戯れ
そして私はまた強引な暴君の思うがままに連れ出されてしまった。
エレベーターの扉が閉まった瞬間、突然二人の間で謎の沈黙が続いた。静まり返った空気に私は少し気まずさを感じる。
すると暴君は不意に口を開く。
「......なぁ、光希に何か変なことされなかったか?」
「な、何ですか唐突に!?」
私は予想外の言葉に驚いていると、暴君は私の顔を覗き込みながら呟いた。
「いいから答えろ」
「......何もされてないですよ。帝さんじゃあるまいし」
私はむっとした表情で悪態を吐く。
すると暴君は意味深に口角を吊り上げて私の顎を持ち上げた。
「......それは俺になら何されてもいいって意味か?」
ーーどう聞いたらそんな身勝手な解釈ができるんだ。
しかし、吐息がかかるほど唇を寄せられてしまった私は答えるに答えられなかった。
口を開いた途端、暴君と唇が触れてしまいそうな距離に私の胸はまた煩いほど高鳴っていった。