この暴君、恋すると手に負えません




私は今、誘拐犯に誘拐された子どものような気持ちだった。


これから自分がどうなるのか、自分が何をされるのか、不安で仕方なかった。


隣で偉そうに足を組んで座っている暴君と目が合うと、不敵な笑みを浮かべこう言う。



「そんなに怯えんなよ。別に手ぇ出したりしねぇから」



ーーいやいや、さっきキスしてきたの誰よ!?



やっぱり頭の打ち所が悪かったのだろう。
でなければこの状況は納得がいかない。


普通の常識人ならば、こんな事態になる筈がないのだから。




< 14 / 409 >

この作品をシェア

pagetop