この暴君、恋すると手に負えません


そして驚くことに、暴君は柔らかな微笑みを浮かべていたのだ。

発する声もどこか優しく、まるで先程の光希さんのように愛おしい恋人の名を呼んでいるのかと思うほど。


「虹美」
「......帝さん?」


ほら、すぐその妖艶な瞳で私を魅了させる。その隙にまた私の唇を奪うのもずるい。


だけどーー......。


「お前が俺を本気で好きになった時、キスよりも甘い俺の愛に酔わせてやるよ」


自己中心的で強引で横暴な王様で、鼻につく上から目線で物を言うところも大嫌いだったはずなのに。


ーー何故か暴君を嫌いになりきれなくなっている自分がいたんだ。


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