この暴君、恋すると手に負えません
――でも拒みきれない。
むしろ体が勝手にこの男を受け入れてしまっている自分がいて、この甘い口付けにすっかり毒がまわってしまったのだろうか。
そしてベッドが軋む音と同時に私は暴君に押し倒される。
真っ直ぐに私の見つめるその瞳には、この男に見惚れている自分が映って恥ずかしい。
「……お前からまさかしてくるなんてな」
「……な、何をですか?」
「キス」
そんな堂々とその二文字を口にしないでほしい。
こっちは自分のした行動にこんなに動揺してるのに、目の前にいる暴君はいつだって余裕に満ちている。
何故かとても嬉しそうな笑みを浮かべていることが、さらにまた悔しくて何も言えなくなってしまう。
「……私からしたから、襲わないでくれるんですよね?」
私が恐る恐る問い掛けると、暴君は私の耳元に唇を寄せて囁く。