この暴君、恋すると手に負えません
「そんな約束をした覚えはないが?」
――あぁ、やっぱりこの男は好きになれない。
人が恥を忍んで自分の身を守るためにしたことも無駄だったなんて。
もう恥ずかしさを通り越し、怒りが込み上げてくる。
「……さ、最低!!だから貴方のこと好きになれないんですよ!!」
私は目の前にいる暴君を突き飛ばして反逆を仕掛ける。
すると暴君は一瞬きょとんとした顔をしたが、すぐにまた脳内のネジが外れたように高笑いしだした。
「ははははは!!やっぱ虹美、お前最高だなっ」
――わ、笑うとこなの?そこ。
予想外の反応に今度は私がきょとんとしてしまった。
暴君はそのまま私から離れて、ベッドの端に腰掛けながら呟く。