この暴君、恋すると手に負えません
「……円華、もう隠しきれないみたいだよ?」
「分かっています。もう、包み隠さず全てお話します」
暴君から逃れた光希さんは桐生さんの隣に歩み寄りながら呟く。
すると桐生さんは小さな溜息を吐き出して、意を決したように真っ直ぐに暴君を見つめている。
そして桐生さんは驚くべき一言を告げた。
「申し訳御座いません。今回の事件はとある方に私が依頼されて実行致しました。これら全て、とある方のシナリオ通りに進められたものでした。ですが私一人では実行するには無理があり光希様の力をお借り致しました」
「虹美ちゃんにも怖い思いばかりさせてごめんね?でも君を試すためにも必要な試練だったんだ」
――シナリオ?試練?
さっきから二人は何を言ってるんだろう。
私は耳に入ってくるワードの数々に混乱していた。
すると暴君は眉間に深く皺を寄せ、二人を睨みつけながら呟く。