この暴君、恋すると手に負えません
「はははははは!」
その高笑いに私たちは異様なものを見るように暴君に視線を集める。
すると暴君は何かを指差しながら声を張り上げたのだ。
「おい誉!!どうせホテルの至る所に隠しカメラ仕掛けてんだろうが、俺が気づかないとでも思ってたのかよ!?お前のシナリオ通りになんか絶対させねぇ。今から俺が言う事、聞き逃すんじゃねぇぞ!?」
――な、何!?どうしたのあの人!?
カメラに話しけかているように見えるけど……。
私はそのまま黙り込んで暴君の様子を伺った。
「俺は宣言する。何があっても俺は美作虹美と結婚する!それは誰にも邪魔させねぇ!」
するとその時、光希さんは少しにやつきながら私の肩をぽんと叩く。
「帝くん情熱的なプロポーズしてるけどお受けするの?虹美ちゃん」
「は!?何言ってるんですか!?」
そんなの受けるはずないじゃない!!
むしろその誉さんの力でこの暴君と引き離してほしいわよ!!
……――って言いたいのに言えない自分がいた。