この暴君、恋すると手に負えません
「ワンワン!!」
朱鳳家に飼われているゴールデンレトリバーのジョセフィーヌであった。ジョセフィーヌはいつも私の匂いを嗅ぎつけると、尻尾を左右に振りながら喜んで飛び乗ってくるのだ。
最初は慣れるまで時間がかかったが、今はそれがまた愛らしかったりする。
だが今日のジョセフィーヌは少し様子がおかしい。私の目の前に来ると、何かを訴えるように服の裾を噛み引っ張るのだ。
「どうしたの?」
するとジョセフィーヌはまるで私を何処かに導くように歩み出し、何度も私が来るのを待つように振り返る。
私は首を傾げながらも、そのままジョセフィーヌの後を追った。
一体どこに連れていくんだろう?