この暴君、恋すると手に負えません
そしてジョセフィーヌはある部屋の扉の前に座り込んだ。
「ワンワン!」
「ここに何かあるの......?」
其処は普段使用していない客室で、私は不思議に思いながらもその扉を押し開けた。
その時だったーー。
ごつん、と何かにぶつかった鈍い音が聞こえた。
恐る恐る部屋の中を覗き見ると其処には額を抑えて尻もちを着いた見知らぬ男の子の姿があった。
「.....いったたた」
ーーえ、誰?
「すみません、大丈夫ですか?」
私は慌てて手を差し伸ばすと、その男の子は額を摩りながら手を掴み立ち上がる。
「あ、すみません。ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ人がいるとは思わなくてノックもせずにすみません」
ふと目が合った瞬間、互いに驚きが隠せず顔を指差して同じ言葉を口にするのであった。