この暴君、恋すると手に負えません
「「え!?何でここにいるの!?」」
そう、目の前にいる男の子は保育園から高校までいつも一緒にいた幼馴染、桜庭瑛斗(さくらばえいと)だったのだ。
「何で虹美が朱鳳家にいるんだよ!?」
「えっと色々事情があって、ボディーガードとして雇われてるんだけど。そういう瑛斗こそ何でここに......?」
実は高校を卒業してから瑛斗は海外に留学してしまい、それから連絡も途絶えて八年振りに再会を果たしたのだった。
久し振りに見る瑛斗は当然ながら少し大人な顔をしている。
昔から頭も運動神経も良くて、童顔だが可愛らしい顔立ちでいつも人懐こい笑顔を浮かべていた。だからか、本人は無自覚みたいだけど女子からの人気も高かった。
いつもバレンタインになると、少女漫画に出てくるようなモテ男のように、両手に紙袋いっぱいのチョコを貰っていた。そして律儀にもホワイトデーのお返しを一人一人に渡していたのを私は知っていた。
何せ毎年そのホワイトデーのお返しの買い出しに付き合わされていたのだから。
ーーなんて懐かしむ間も無く、背後から突然桐生さんが現れたのだ。