この暴君、恋すると手に負えません
外観だけでも室内の壮大さは想像していたが、実際自分の目で見るとあまりの迫力に言葉を失ってしまう。
真紅の絨毯を中心に美術館で見たことがあるような大きな絵画が飾られている廊下を暴君は当たり前のように歩き出す。
その姿もやはり威張り散らした高貴な王様のようだ。
上を見上げるとシャンデリア、横を見れば絵画と高級な壺のオンパレードで、私はただただ緊張感が募るばかりだった。だって仮にひとつでも傷つけてしまったら、一生働いても返せる気がしない。
すると暴君はある部屋の扉の前で足を止めた。そして両手で思いっきり扉を開いて振り返る。