この暴君、恋すると手に負えません
そして二人の会話についていけない私は、ただ呆然としていた。すると暴君は私の手をぎゅっと握り締めこう言った。
「虹美は俺と一緒に来るんだ、これは命令だ」
「......っ、でも」
「お前の声ならハチも耳を傾けるかもしれない。お前がハチを止めるんだ」
「......わ、分かりました」
私は心の中で不安が募りつつも、小さく首を縦に動かした。そして間も無く朱鳳家の屋敷が見え始めると、ヘリは徐々に機体を下げていく。
「そろそろ離陸するよ!」
そして無事にヘリが着陸すると、私たちは足早に屋敷の中へと足を踏み入れたのだったーー......。