この暴君、恋すると手に負えません
「光希、これ持ってけ」
暴君は鞄からインカムを取り出すと、光希さんに向かって投げ渡した。
「何かあった時、互いにインカムで連絡しあおう。頼んだぞ、光希」
「おっけ、円華に何かあったら僕は許さないからね?帝くん」
「分かったから早く行け」
「はぁい」
こんな時すら光希さんは緊張感のない笑みを浮かべて敬礼している。そして当てもなく、屋敷中を歩き回って爆破装置を探し始めていた。
「虹美、俺らも行くぞ」
「は、はいっ」
「桐生の話だと二階のパーティールームに皆を人質にとっているそうだ。急ぐぞ」
私たちは足早に中央階段を駆け抜け、皆が囚われているパーティールームへと急いで向かったのだった。