この暴君、恋すると手に負えません
そして暴君は両手でパーティールームの部屋の扉を豪快に開けて、中へと入った。私も後を追って中に入ると、中央に煌びやかな王様のような椅子に足を組んで座っている瑛斗の姿があった。
部屋の隅には屋敷の使用人たちが縄で縛られ口も塞がれている。その中には桐生さんもいた。
「......おいハチ、お前は何が目的だ?」
するとハチは手に持つ拳銃を眺めながらくすくすと笑う。
「そんなの朱鳳財閥の金銭目的以外ないでしょう?」
「......愚問だったか。いくら用意すればいい?」
「10億を現金で、それに逃走用のヘリを用意して頂けたら人質は解放致します」
「お前正気か?自分が何をしてるのか分かってるのか?」
するとハチは一瞬にして笑みを消して無表情になった。そして椅子に座ったまま、人質になっている使用人たちに拳銃を向ける。
「おっと、あまり挑発はしないで頂けますか?誤って発砲しちゃいますよ?」
「......分かった、ただ確認したい事がある。聞いてもいいか?」
「何ですか?」
「爆破装置はどこに仕掛けたんだ?」
「さぁ?どこでしょう?」
今度は瑛斗が暴君を挑発するような口調で茶化す。すると暴君は眉間に深く皺を寄せて瑛斗を黙ったまま睨みつけていた。