この暴君、恋すると手に負えません


「虹美、何してんだ!?」

暴君が私の元に駆けつけ、銃口を握り締める手を引き離した。その際、何かに気づいたのか暴君は目を細めて薄っすら笑みを浮かべた。

「......おい、ハチ。その銃、デザートイーグルだろ?」
「だったら何なんですか?」
「レプリカだろ、それ」

その一言に瑛斗は動揺が隠せずに視線を背けた。その隙を見て、暴君は銃を奪い取る。

「誉が銃コレクターでな、部屋に飾ってるんだよレプリカを」
「だから何だと言うんですか?」
「あいつはな、自分の名前を銃口の内側に掘ってんだよ」

私は暴君が奪い取った拳銃の銃口を見つめた。確かにそこは英語の筆記体で"H.suou"と刻まれている。


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