この暴君、恋すると手に負えません


「......ハチ、お前もまさか誉の差し金か?」

すると瑛斗は力が抜けたかのように椅子に座り込んだ。そして困ったような笑みを浮かべて呟く。

「お察しの通りです、帝様」

私はその隙をみて人質にされた使用人たちの縄を解いていった。その間も瑛斗と暴君は会話を続けている。

「やっぱりな。どうせこの前挑発したから、また俺と虹美を引き離そうとしたってところか?」
「はい、誉様は帝様が選ばれた婚約者は朱鳳家に相応しくないと申されておりました。全ては誉様の書いたシナリオ通りです」
「また誉のシナリオってやつか。ふざけやがって」

瑛斗は椅子から立ち上がると、そのまま暴君の目の前に歩み寄り深々と頭を下げた。


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