この暴君、恋すると手に負えません
「申し訳ございません。ご無礼をお許しください」
「......ハチ、頭を上げろ。お前も誉の命令に従っただけだろうが。そもそも誉が直々に選んだ執事の時点で俺は警戒していた。早速仕掛けてくるのは予想外だったがな。おい桐生、頼んだものは調べられたか?」
縄が解かれた桐生さんは暴君の元へ歩み寄り、耳元でこそこそと何かを伝えていた。すると暴君はちらりと私を盗み見て意味深な笑みを浮かべた。
すると瑛斗はどこか寂しげな笑みを浮かべながら立ち上がる。
「......俺が虹美に関わりのある人物だったから、いい様に使えると思って誉様は採用してくださったんですよね?」
「いや、そんな理由だけで雇うほど誉も腐ってねぇよ。お前の実力も見込んでの採用したはずだ」
「......え?」
「お前、あの難問の執事養成所の卒業生らしいな。卒業するのに最低でも十年はかかると言われてるのにお前は僅か二年で全てを習得したそうだな」
「どうしてそれを......!?」
瑛斗は驚きが隠せずにいると、暴君の隣にいる桐生さんが口を開いた。