この暴君、恋すると手に負えません
「虹美、そこに座れ」
なんだ偉そうに。
私はむっとしながらも大人しく暴君の目の前に腰を落とした。
「これに目を通せ。全部読み終わったらサインしてくれ」
終始上から目線の物言いに苛立ちを感じながらも、差し出された紙を持って目を通し始めた。
其処にはこう書かれている。
『雇用契約書』
そして契約書に記された内容を目に通すと、私は驚きが隠せず目を大きく見開く。
「あの!?これどういう事ですか!?」
「不備でもあったか?」
私は暴君の目の前に書類を見せつけた。すると暴君は不思議そうに首を傾げる。