この暴君、恋すると手に負えません


するとその時、誰かが部屋の扉をノックした。

「はい」
「目が覚めたのか?美作虹美」
「桐生さんですか?」
「あぁ、そうだ。入ってもいいか?」
「ど、どうぞ」

桐生さんは扉を開けるとそのまま私の元へと歩み寄った。そして私の手を握り締めたまま眠る暴君を見つめた後、いつものように私を睨みつける。

「......お前、昨日のことは覚えているのか?」
「昨日、ですか?」
「桜庭瑛斗の爆破事件だ。あの後、お前は急に意識を失って大変だったんだぞ?帝様が誉様に……っ、まぁいい。医者が言うには緊張感が解けたショックで一時的に気を失ってしまったそうだ」

ーーじゃ、あれは夢じゃなかったんだ。


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