この暴君、恋すると手に負えません
「おはようございます、帝さん」
「虹美、目覚ましてたのか?」
「はい、ついさっき」
「......そうか、よかったな」
すると暴君は握り締める手に力を込めて、ほっとしたように柔らかな笑みを浮かべる。
朝日に照らされたその笑みはとても綺麗で、直視できない私は思わず顔を俯かせてしまう。
「体はどこも痛くないか?」
「はい、お陰様で」
「今日は特別に休みにしてやる。だから安静にしておけ」
「でも。もう体は何ともないので......」
「俺の言う事は絶対だと言った筈だ」
そして暴君は私の頭をぽんと撫でる。私は首を縦に動かすと、暴君は満足げに笑みを浮かべて立ち上がった。