この暴君、恋すると手に負えません
「......俺さ、実は虹美のこと昔好きだったんだよ」
「え、うそでしょ?」
「本当だよ?いつもバレンタインデーのチョコ、虹美から貰えるの期待してたくらいだし」
「……そうだったんだね、なんかごめん」
「いいよ、もう昔の話だしなっ」
私は照れ臭くなって、視線を落としながら頰を掻いた。
「それでさ、俺が執事になろうって思ったのも実は虹美のおかげなんだ」
「私?」
すると瑛斗は小さく微笑んで懐かしむように話し始めた。
「虹美の両親亡くなった時に人前で泣かなかっただろ?でも葬儀が終わった時に、看板の影に隠れて泣いてたの俺見たんだ。その時の虹美は強いなぁって、俺にはかっこよく見えたんだ」
ーーやだなぁ、あれ見られてたんだ。