この暴君、恋すると手に負えません
「…...き、綺麗」
室内には大きな鮮やかな七色の虹が広がっていたのだ。とはいっても、本物ではなくプロジェクターで作った人工的なものだが、思わず見惚れてしまうほど綺麗だった。
私が虹に夢中になっていると、暴君はその隣で嬉しそうな笑みを浮かべていた。
「喜んでもらえたか?」
「え、あぁ、はい。でもどうして?」
「今日は七月十六日、虹の日だそうだ。以前、虹美の名前の話聞いて何かサプライズしてやろうと思ってな。まぁ、お前には何かと苦労かけてるからな。これは日頃の感謝の気持ちだ」
虹の日。
そんな日があったなんて知らなかった。
そして暴君は用意していたのか、ソファーの影に隠していたバラの花束を私に差し出した。
しかしそのバラは花びらが一枚ずつ色が違っており、まるで虹のようにパステルの七色の彩り鮮やかな花束だった。