この暴君、恋すると手に負えません


「…...き、綺麗」

室内には大きな鮮やかな七色の虹が広がっていたのだ。とはいっても、本物ではなくプロジェクターで作った人工的なものだが、思わず見惚れてしまうほど綺麗だった。

私が虹に夢中になっていると、暴君はその隣で嬉しそうな笑みを浮かべていた。

「喜んでもらえたか?」
「え、あぁ、はい。でもどうして?」
「今日は七月十六日、虹の日だそうだ。以前、虹美の名前の話聞いて何かサプライズしてやろうと思ってな。まぁ、お前には何かと苦労かけてるからな。これは日頃の感謝の気持ちだ」


虹の日。
そんな日があったなんて知らなかった。


そして暴君は用意していたのか、ソファーの影に隠していたバラの花束を私に差し出した。

しかしそのバラは花びらが一枚ずつ色が違っており、まるで虹のようにパステルの七色の彩り鮮やかな花束だった。


< 212 / 409 >

この作品をシェア

pagetop