この暴君、恋すると手に負えません


「花言葉は奇跡だ」

私の視界には綺麗な虹のバラ、そして妖艶な瞳で私を見つめる暴君でいっぱいに埋め尽くされる。

暴君はそのまま私の左手にキスを落とした。

「俺とお前が出会った事もきっと奇跡だからな。俺はこの出会いに、誰よりも感謝する」
「み、帝さん......」

私はその甘い言葉に一瞬にして酔いしれてしまった。そして私の視界の中にさらに驚く物が飛び込んできた。

そう、私の左手の薬指にはレインボーローズがモチーフになった指輪がはめられていたのだ。

「......こ、これ」
「俺とお前が出会った奇跡の記念だ。いずれ、その指には本物の婚約指輪をはめてやる」

そして暴君は指輪がはめられた指に口づけを落とし、こう呟いたのだ。



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