この暴君、恋すると手に負えません
逃さないとでもいうように私の顔を間に両腕を伸ばし、あの妖艶な瞳で真っ直ぐに見つめた。
逃げ場を失ってしまった私は左手を盾に顔を隠す。
その時、帝さんは何かに気づいたように口角を吊り上げる。
「……お前、指輪つけてたのか?」
「あっ、これは……っ」
――やばい、忘れていた。
急にあのメッセージが届いたものだから指輪を箱に戻し忘れてつけたままだった。
よりによって帝さんにつけているところを見られると恥ずかしくて仕方ない。
「普段つけねぇから気に入らないかと思ってただろうが」
「違いますよ!仕事中にもし落としたりしたら嫌なので一人で部屋にいる時とかこっそりつけて……っ、あっ」
私は動揺のあまり口を滑らせてしまう。
その言葉を聞き逃さなかった暴君は私の左手を手に取り、再びレインボーローズに口付けを落とした。
間近で帝さんが指輪にキスをしている姿はとても心臓に悪い。
息をする事も忘れてしまうほど魅入ってしまうその美しさに私の鼓動は高鳴りっぱなしだ。